雪山用歩行具の選択 スノーシュー・ワカン・アイゼン

雪山を歩く登山者

雪山では、登山靴のままで歩こうと思っても、滑ったり埋まったりして、まともに歩くことはできません。
そのため、雪の上でもしっかりと歩けるように、靴に装着する歩行具が必要になります。
歩行具には、雪質や斜面の状態によって、さまざまなタイプのものがあります。

 

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雪山用の歩行具の種類

アイゼン

雪山登山用アイゼン

アイゼンは、皆さんご存知のとおり、雪山歩行の定番アイテムですね。
何本も尖った爪がついた歩行具で、登山靴の靴底に密着させて使用します。

爪の本数でタイプが分類され、雪山のコンディションによって使い分けます。

凍った雪面に威力を発揮し、前爪のある10本爪以上のタイプなら、アイスバーンの急斜面も登っていくことができます。

スノーシュー

スノーシュー

スノーシューは、雪原を颯爽と闊歩するスノートレッキングでよく使用されています。
大きな板状の歩行具で、登山靴にベルトで固定するようになっています。
とても浮力があり、新雪が深く降り積もっていて登山靴では腰まで埋まってしまうような状況でも難なく歩くことができます。

スノーシューには、大きく分けて「平地・緩斜面用」と「登山用」がありますが、雪山登山に挑戦するなら、裏面にクランポンというギザギザの刃が付いていて、踵部分にはヒールリフターといって踵を浮かせる機能が付いている登山用スノーシューがおすすめです。クランポンとヒールリフターのおかげで、少々の上り坂でも楽に登っていくことができます。
逆に下り坂では、フロート(踵より後ろの部分)が雪面に当たってうまく歩くことができなくなり、これがスノーシューの弱点といえます。

ワカン

ワカン

楕円形のアルミ製のパイプでできていて、紐で登山靴に固定するようになっています。

接地面積が小さめなので、スノーシューほど浮力はありませんが、ある程度は雪面に足が沈み込むのを防いでくれて、軽くて取り回しが容易です。
斜度がある雪面でもキックステップで登っていくことが可能で、アイゼンを取り付けた登山靴のままで装着することもできます。

突出した機能はありませんが、いろいろな場面に対応できるオールマイティな歩行具といえます。

 

適切な歩行具の選択

雪質や地形などのコンディションによって適切な歩行具を選択する必要があります。
ただし、雪山のコンディションは麓から稜線に至るまで様相が異なることが多いので、単一の歩行具だけでは対応が困難な場合もあります。

踏み固められたトレースが続く場合

基本的にはアイゼンを使用します。
トレースの雪面が柔らかめで足の沈み込みがある場合は、ワカンを使用した方が楽な場合もあります。

雪面が凍ってアイスバーンになっている場合

アイスバーンにはアイゼン以外は役に立たないです。
アップダウンが激しい山では、前爪のある本格的なもの(10本爪以上)が必要になります。

新雪が深く降り積もった状態の場合

スノーシューが抜群の威力を発揮します。

ただし、急斜面の場合は、スノーシューよりもキックステップで登っていけるワカンを選択すべきですが、あまりにも雪が深すぎる斜面では、ラッセルしながら足元を踏み固めて少しずつ登っていくことになり、なかなか前進できず、体力の消耗も激しいため、場合によっては登山を断念せざるを得ないでしょう。

アイゼンとの併用を

雪の状態は麓から稜線まで一様でないことが多いので、アイゼンと他の歩行具の2種類を携行した方が安心です。
麓では柔らかな歩きやすい雪質であっても、稜線に出ると急にアイスバーンになっていることが多いため、アイゼンは常に携行することをおすすめします。

● 傾斜の緩い山では「スノーシューとアイゼン」

● 急峻な地形を伴う山では「ワカンとアイゼン」

 

歩行具ごとの歩き方

アイゼン

アイゼンの爪(特に前爪)が雪面にひっかかって転ばないよう、歩幅を狭くして真上から垂直に雪面に足を置くようなイメージで歩きます。

足を前へ運ぶ際は、アイゼンの爪を反対の足に引っかけて転ばないように、左右の足の間隔を10cm程度あけて歩くように常に心がけましょう。

すべての爪が雪面に刺さるように、雪面にフラットに着地することが重要です(フラットフッティング)。

フラットフッティングができないほど傾斜がきつい登りの場合は、アイゼンの前爪を斜面に蹴り込んで、前爪を突き刺しながら登る技術が必要になります(キックステップ)。
キックステップで雪山を登る登山者
(キックステップ)

急な下りの場合は、アイゼンの後ろ側の爪でキックステップしながら雪を掴んで降りていきます。

スノーシュー

スノーシューは、平地や傾斜がなだらかな雪面でとても歩きやすい構造になっています。

足を上げるとスノーシューの踵部分だけが足から離れるので、板が進行方向に向かって斜め上に向いた状態になります。
したがって、そのまま板を雪面に滑らせながら足を前に出すことができるので、あまり足を上げることなく軽快に歩くことが可能です。

急な登り坂では、ヒールリフターを上げて踵を浮かせて、傾斜の負荷を緩和して進むことができます。
スノーシューのヒールリフター
(ヒールリフター)

ワカン

ワカンは、軽くてコンパクトなつくりなので、わりと取り回しが楽です。
しかし、スノーシューと違って足に固定されているため、沈み込みのある雪面では、足を垂直に足を上げてから前に出すように歩かなければなりません。

ワカンの使い方には自由度があり、アイゼンを付けたままで装着して歩いたり、雪深い場合はラッセルして雪を踏み固めながら進んだりと、歩き方にも臨機応変な対応が必要です。