中高年のための登山の歩き方

登山をするシニアカップル

歳を重ねるにつれ、徐々に体力不足を感じるようになってきました。
それでも不思議と登山は若い頃と同じように楽しむことができています。
それは、自然と年齢に合った登山の仕方を身に付けてきたからなのだと思います。

そこで、体力も筋力もない私が実践している歩き方のノウハウをお話ししたいと思います。

 

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歩き始めの30分が大切

登山道入口

一日を決するのは最初の30分だということが、経験上わかりました。

山に着いて眼前に広がる景色を見ると、爽快感と高揚感から自然とパワーがみなぎってきます。
気分的には最初から飛ばして登っていきたいのですが、身体全体がしっかり目覚めるまではつとめてセーブです。

他の登山者にどんどん追い抜かれても気にせずに、とにかく歩き始めの30分は、スローペースで身体を慣らしていきます。
そうすることによって、徐々に身体の循環機能が整い、その後の身体活動をスムーズにしてくれます。
それからは、少々ペースを上げ下げしてもちゃんと身体がついてきてくれますし、たとえオーバーペースになりそうになっても、身体がちゃんとセーブしてくれます。息が上がっても立ち直りが早いです。

これって本当に大切なことなんですよ!

小股が基本

登りも下りも「小股で歩く」が基本です。

理由はふたつあります。

ひとつは、脚の筋肉を疲労させないため
大股で歩くと、1歩の高低差が大きくなり、それだけ筋力を使わなければなりません。
下り時には、脚にかかる衝撃も大きくなります。
小股で歩く方が、歩数は多くなりますが、断然足への負担が少なくなります。
また、リズミカルに歩くこともでき、ペース配分もしやすくなります。

もうひとつの理由は、ころばないためです。
大股になると、脚を上げている時間がそれだけ長くなり、不安定になります。
また、足の接地角度が急になるため、足裏全体で支えることができずに、ズルッと滑ることが多くなります。
特に私たちのような中高年以上になると、バランス感覚が鈍ってきますので、注意が必要ですね。

急がば回れ

急な坂では真っ直ぐに進むのではなく、斜めにジグザグに歩くと、歩く距離は増えますが、足の疲れを防止することができます。
小股で歩くことと同様に、一歩一歩の高低差が少なくなるので、足に負担を掛けずに、リズミカルに歩くことができます。
結局は、上りでも下りでも真っ直ぐ最短距離を進むよりも早く目的地に着くことになるんです。

急な登りは逆ハの字で

急な登りは、足を肩幅かそれ以上に開いてガニ股で歩くと、足に負担を掛けず、またバランスを保ちながら歩くことができます。

急でない登りの場合でも、足を少し開きながらガニ股ぎみで歩くと、自然と「小股」になり、バランスもとりやすいので、有効的な歩き方です。

下り坂ほど重心を前に

登山道を下る人

下り坂は足が滑りやすく、転びそうで怖いですね。
だから、へっぴり腰になり、重心がお尻の方にいってしまいます。

しかし、今でも信じられない感覚なのですが、怖さを我慢して重心を前にして歩くと、不思議と転ばないんです。
というか、足のつま先から着地するように心がけると、滑りかけてもピタッと止まってくれます。これは、重心が自然と足裏全体に移ってくれるからだと思います。
足先だけでなく、身体全体も前に前にという感じで歩きます。

下り坂で「重心を前に」なんて、なかなかイメージできにくいと思いますが、感覚的には足先よりも膝頭を前に出して着地するというイメージです。
膝頭を前にするためには、とにかく小股で、そして必然的に膝を曲げたままで歩くことが必要になるので、日頃から膝の筋肉を鍛えておかなければならないということが、私達のような中高年にはネックなんですが・・・

それまで私は、かかとで恐る恐る着地して、どんどん滑っていました(笑)
今では重心を前にして小股でリズミカルに颯爽と下りています。

膝の筋力と柔軟性が必要なので、ちょっと訓練が必要かもしれませんが、ぜひ皆さんも怖さを我慢してこの感覚をためしてみてください。

急な下りはパラレルターン

急な下りや岩がゴツゴツと出ているような不規則な下りは難儀しますね。

このような状況では、前述したような「足のつま先から着地」して、軽快に歩くというわけにはいきません。

そこで、足先を坂下の方向に真っ直ぐ向けるのではなく、斜めに向けて歩くと、安定感や安心感が増します
スキーのパラレルターンのような感じですね。

歩き方のコツは、坂の地形に合わせて、自由自在に向きを変えながらジグザグに下りていきます。

足裏を横に向けると重心のかかる面積が大きくなるので、滑りにくくなります
また、身体が横向きなっていると、たとえ滑って転びそうになったとしても、さっと手がつきやすく、横向きは斜面との距離が近くなるので、腰や後頭部を強打する危険性も激減します。

ターンしにくいような狭い坂の場合は、横向きのままカニ歩きのように下っていくといいです。

浮石に注意

ガレ場を歩く登山者

私の転ぶ原因のワーストワンは、浮石です。
転ばないにしても、足をくじいて捻挫する危険性もあります。
特にガレ場(石がゴロゴロ散乱している斜面)は気を付けなくてはなりません。

浮石をみつけるのは難しいのですが、石に足を置くときは、そっと着地して足裏の感触を確かめながら歩くしかないですね。

浮石は転倒の危険性のほかにも、落石して他の登山者に危害を及ぼすこともあります。

石の多い登山道は、神経を集中してソフトランディングで慎重に歩きましょう。

トレッキングポールの有効利用

トレッキングポール

私は膝が弱いため、長く歩くと膝痛に悩まされます。
いったん膝が痛くなり始めたら、みるみるうちに悪化し、身体が元気なのに歩くことができなくなり、とても悔しいです。

ところが、トレッキングポール(登山用ストック)を活用するようになってからは、ほとんど膝痛に悩まされることがなくなりました

ただし、トレッキングポールは正しく使わなければいけません。
杖のように体重を支えて歩くのではなく、あくまでも補助です。また、平地、登り、下りで、トレッキングポールの使い方は変わってきます。
正しい使い方は、また別の機会でお話ししようと思いますが、ここぞという時にはとても助けになってくれます。

トレッキングポールは伸縮できるので、不要な時は縮めておけば邪魔になりません。
持って行くだけで使わないときもありますが、いつでもトレッキングポールが使えるという安心感はとても大きいです。

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トレッキングポール

休憩こそ慎重に

休憩する登山者

最後に、歩き方とは関係ないことですが、休憩の大切さのことをお話しします。

休憩するときは、疲れた時ですよね。
身体は最高にヒートアップしているときに立ち止まることになります。
そうすると、熱がこもって、急に汗が出てきます。また、動いていた時は蒸散していた汗が、一気に身体にまとわりつくようになります。
アンダーウェアが汗でびっしょりになる前に、すぐに上着を脱いで熱を冷まし、そして汗が引けば、身体が冷える前に急いで上着を着る
これが、休憩のコツです。

また、疲れたからと言って、座り込んだり寝転がったりして、完全休憩することもリラックスできていいのですが、せっかく身体が運動することに慣れているのに、その身体に「もう運動しなくていいんだ」という誤解を生じさせてはいけません。そうなる前に起き上がって、準備体操やストレッチングなどをして、身体の状態を維持しましょう。

 

これからもできるだけ長く登山を楽しめるように、年齢に見合った歩き方を身につけて行こうと思います。
まずは、無理をせず安全第一ですね