中高年の健康維持には軽登山(トレッキング)

登山をするシニアカップル

中高年になると、急激に身体機能が衰えてきます。
私が極端な身体機能の衰えを実感したのは、50歳半ばの頃です。
特に、足腰の衰えとバランス感覚の衰えを痛感しました。
ちょっとした階段の上り下りが辛くなり、少しの段差につまづくことが多くなり、歩く速度が落ちてきているのを実感し始めたのも50歳を過ぎた頃からです。

 

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中高年の身体機能の衰え

中高年になると、骨密度と筋肉量が低下し、筋肉の質も変わってきます。
そして、身体的な衰えを顕著に感じるのが、「足腰の筋力」「バランス感覚」「柔軟性」ではないかと思います。

足腰の衰え

人は下半身から老いる」と感じています。
特に、膝と腰を取り巻く筋肉の衰えが顕著で、その結果、歩行や立ち座りがしんどくなるばかりか、膝痛や腰痛を引き起こし、歩行困難を招くことになります。
歳を重ねても元気に日常生活ができるためには、どうやって足腰の衰えを防ぐかにかかっていると思います。

バランス能力の衰え

中高年になると、筋力低下,視力低下,反応時間遅延など加齢に伴うさまざまな身体機能の低下により、バランス能力が急激に低下してきます。
そして、そのまま放置してもっと高齢になると、転倒リスクが高まって重大な怪我に繋がることになります。

柔軟性の衰え

歳を取ると、身体中の筋肉が硬直化して委縮してきます。その結果、可動域が狭くなって柔軟性が低下してきます。
体の柔軟性が悪くなると、とっさの動作も追いつかなくなり、怪我や転倒の原因になります。

軽登山の効果

上記のような身体機能の衰えを防止するため、たくさんの中高年の方がいろいろな努力をしておられると思います。

散歩、ジョギング、トレーニングジム通い・・・・

いろいろなトレーニング方法がありますが、私は、軽登山(トレッキング)をおすすめしたいです。
軽登山には、即効性のあるいろいろな効果が満載なのです。

高低差が筋力と心肺能力を鍛える

トレッキングポールを持つ登山者

家の周りを散歩していると、1時間以上も歩いても、身体がだるくなって疲れるだけで、まったく息があがらないし、心拍数もあまり上昇しません。
それは、平地だからです。
ところが、階段を登ると、この歳になると3階まで上がっただけで息が苦しくなってきます。
身体を上へ持ち上げる力は、心肺機能と足腰の筋力の増強にとても役立ってくれるのです。

ただ、階段は段差の高さが決まっていて、自分で負荷量(1歩の高低差)を選ぶことができません。
これが坂道なら、自分の歩幅で高低差を調節することができます。

だから、坂道が続く登山コースは、心肺機能と筋力を手軽に鍛えることができる絶好の道具といえるのです。

不整地がバランス能力を鍛える

バランスをとっている石

地面がデコボコしていて、岩や木の根が点在している登山道は、とても歩ききくいです。
この歩きにくさが、知らず知らずのうちにしっかりとバランス能力を鍛えてくれます。
身体を支えるためにインナーマッスルを使うため、体幹機能も強化されます。

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バランスをとる女性

憂うつ感からの解放

悩む女性

中高年になると、憂うつ感に苛まれたり、不定愁訴を抱く人が増えてきます。
特に定年を迎えて、今までバリバリと仕事にまい進してきた人が急に自宅でのんびり過ごすようになると、虚無感から気分がすぐれなくなる人が多いとか。

いろいろな趣味を見つけるのが改善策になりますが、もっとも効果的なのは自然と接することだと私は考えています。
そのためには、軽登山は最適な趣味だと思います。

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悩む女性

どんな山がいい?

近郊の低山

手軽に登れる近郊の低山があれば申し分ないです。
移動時間が少なく効率的ですし、何か緊急事態が発生しても、すぐに帰宅したり家族の手助けを借りることもできます。

適度なアップダウンがある

平地が続くような道では身体的なトレーニング効果が薄いですし、そうかといってアルペンクライマーが挑戦するような急坂では滑落して怪我をする心配があります。
適度な登り下りのある登山道がいいですね。

整備され過ぎていない登山道

きれいに整地された登山道は、バランス感覚を鍛えるには不向きです。
でこぼこの登山道が効果的です。
また、階段や石段が続くようなコースは、なかなか自分のペースで歩きづらいです。段差が大きいと膝や腰に負担をかけ過ぎて、痛みが生ずる可能性もあります。(特に下りは注意)
階段のない自然動画いいですね。

登山の注意点

準備運動と登り始め

登り始める前は、必ず準備運動をしましょう。
そして、登り始めの30分間は、超スローペースで身体を慣らしていくことが大切です。
この最初の30分間がとても大切だと、本格登山を経験して感じました。

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登山靴で歩く

こまめな休憩

休憩する登山者

個々の体力によりますが、30分に一度くらいは小休止をして、疲れを溜めないようにしましょう。
休憩中は、身体の状態を確認したり、水分を摂ったり、靴ひもの状態を確認したりして、チェックを怠らないのが大事です。

水分とミネラル

ペットボトルとグラス

体の水分が不足すると、熱中症や脱水症状を引き起こし、最悪は動けなくなってしまう可能性もあるため、特に夏季登山では細心の注意が必要です。

喉が渇いたと感じてからでは遅すぎるので、水分は早めに摂るようにしましょう。

また、一度に多く摂取しても、身体に吸収されずに尿として排出されてしまうため、一回の摂取量は200ccまでとし、こまめに摂取することが大切です。

ただ、真水ばかり摂取していると、尿量が増えることで、かえって脱水症状に陥ったり、いわゆる「水中毒(低ナトリウム血症)」になってしまったりする可能性があるため、水分と一緒にナトリウム(塩分)やカリウムなどのミネラルも摂ることが必要です。
ミネラルが入ったスポーツドリンクもいいですが、水分とは別に塩分タブレットや梅干しなどを摂取してもいいでしょう。

忘れてはいけない装備

トレッキングポール

4本のトレッキングポール

中高年以上になると、筋力の衰えからさまざまなアクシデントが発生することも考えておかなければいけません。
膝痛、体力消耗、熱中症などの予防や、それらが発生した時の補助として、トレッキングポールの使用は有効です。
特に、足腰の筋力が不足している人、膝や腰の痛みを抱えている人、身体のバランス感覚が悪い人にとっては必需品です。
ただ、トレッキングポールに頼りすぎると、思わぬ事故に繋がったり、そもそもバランス能力を鍛えることができません。
あくまでも補助という意識を持つことが肝要です。

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トレッキングポール
レインウェア

登山用のレインウェア

山の天気は変わりやすいものです。
特に大気の不安定な夏季は、午後から急に天気が崩れることもしばしばです。
たとえ天気予報が「晴天」であっても、お守りとしてレインウェアは必ず携行するようにしましょう。
ザックカバーも忘れずに

ヘッドライト

登山用ヘッドライト

道迷いやペースダウンなどで計画通りに行程が進まずに日が暮れてしまうことも想定しておかなければなりません。

周囲が暗くなっても行動できるよう、登山用のヘッドライトは持って行くべきです。

スマートフォン

怪我、体調不良、道迷いなどのアクシデントが発生した時には、連絡手段が欠かせないので、必ずスマートフォンは携行しましょう。
併せて予備電池(モバイルバッテリー)もあったほうが安心です。

エイドセット

エイドセット

登山中で考えられる身体の不調は、足豆、腹痛、筋肉の痙攣です。
そういう事態に陥ったときにも、応急処置で症状を軽減して無事に下山できるよう、エイドセットの準備が必要です。
私は、キズテープ、胃腸薬、芍薬甘草湯(足の痙攣を抑える薬)は必ず携行しています。
害虫に刺されたときのために、ポイズンリムーバー(ハチなどの毒液や毒針を吸引する器具)もバッグに忍ばせています。

まとめ

専ら散歩やジョギングなどで身体機能を維持されている中高年の皆さん
軽登山を始めてみませんか?
衰えかけた身体機能を維持向上させるために、軽登山(トレッキング)は、とても手軽で効果の高い方法です。
そして、身体機能が復活してきたら、今度は本格的登山も楽しめるような心と体の余裕が出てきます。
登山は本当にいいもんです。

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