私は、40歳を過ぎた頃から仕事や家庭で悩みや心配ごとが増え、ストレスに苛まれることが多くなってきました。
最初の頃はまだパワーがあって、頑張ればそのうち体調が戻っていましたが、ストレスが重なるうちになかなか元に戻らなくなり、ついには深刻なうつ状態に・・・
うつ病を発症してしまってからでは、対処が難しくなります。病気になってしまう前にその前兆に気付いて、心をリセットすることが大切です。
今回の投稿は、もっぱら私の経験から、心の疲労回復に最も効果のあった「大自然と向き合う」ことについて、お話ししたいと思います。
ただし、これは私の場合であって、全ての人にあてはまるものではないことをご了承願います。
心が病み始めるときの危険信号を見逃すな!
身体的な疲れの場合は、筋肉痛になったり、睡魔が襲ったりと、すぐに疲れが実感できますね。
一方、精神的な疲れの場合は、じわじわと蓄積して心を蝕んでいき、気がついたら重症になっていた、ということが多いです。
しかし、誰でも重症になる前に気付くことができる心の状態の変化(危険信号)があるはずです。
危険信号の発現パターンは、人によってさまざまですが、日頃からその信号をしっかりと把握しておくことが、重症にならないためにとても大切です。
私の場合は、次のような危険信号で心の状態の悪化を判断しています。
お気に入りの音楽を聴いても、雑音にしか聞こえない。
テレビのお笑い番組を見ても、全く笑えない。
それがわかれば、心の病をうまくコントロールできる可能性が大きくなります。
大自然が持つ心の癒し効果(一般論)
私が大自然と向き合う理由は後述することにして、一般的に自然と接することがストレス解消にどんな効果があるといわれているかをお話しします。
フィトンチッドによる癒し効果
フィトンチッドは、一言で言えば、「森林の香り」です。
植物が傷つけられた際に放出する揮発性物質のことで、殺菌力や消臭力を持ち、その香りが人の心を癒し、安らぎを与える効果があると言われています。
マイナスイオンによる癒し効果
マイナスイオンは、空気中に存在する負の電気を帯びた分子(主に水の分子)の集まりのことをいいます。
森の中はマイナスの電気を帯びたイオンに満ちていて、特に滝や小川の近くなど水が激しくほとばしるところでは、マイナスイオンが多く発生します。
マイナスイオンを浴びると、心身がリラックスし、脳からのα波が増して、快適な気分にさせてくれると言われています。そのほかにも、自律神経の調整、血圧降下、快眠、疲労回復などにも効果があるとのことです。
「1/fゆらぎ」がもたらす癒し効果
「1/fゆらぎ(エフぶんのイチゆらぎ)」とは、私たちが心地よいと感じるリズム で、科学的な説明は難しいので割愛しますが、自然の中では、そよぐ風、小川のせせらぎ、木漏れ日、うちよせる波、鳥のさえずり、蛍の光などに、 1/f ゆらぎを感じることができます。
人間は 1/f ゆらぎ を感じると、生体リズムと共鳴して、自律神経が整えられ、 精神が安定し、 活力が湧くと考えられています。
そのほか、森林の緑色、ひんやりとした新鮮な空気、動植物の営み、壮大な景色など、大自然には癒されるものがたくさんあります。
私が自然から感じ取るもの
自分の悩みが「些細なこと」と感じるようになる
大自然に身を置くと、空や山や海などの壮大な景色に圧倒されます。
神様が創造したこの大自然の営みは、私たちの煩悩に関係なく、延々とそして黙々と、私たち人間を含めすべての生命を支え続けています。
大自然に腰を下ろし、そんなことを考えていると、自分が悩んでいることが、とてもちっぽけなことに思えてきて、馬鹿らしくなってきます。
光と緑が心を快活にしてくれる
燦燦と降り注ぐ太陽の光と、活き活きと生い茂る木々や草花の緑を身体中で感じると、なぜか気分が爽快になり、心がウキウキしてきます。
これは、私たち人間が生まれ持っている本能なのかもしれません。
単調な動作が心の状態をリセットしてくれる
登山やトレッキングなど、自然の中でただひたすら黙々と歩いていると、その単調な動作と一定のリズムが心の中をリセットしてくれるような気がします。
身体に負担の少ない有酸素運動が、全身の循環機能を徐々に調整してくれるからなのかもしれませんが、この単調な動作の連続が、私の心の癒しにとって、とても重要な働きをしてくれるのです。
私の自然との向き合い方
必ず単独行動をする
私が大自然に身を置く場所は、決まって山の中なのですが、山に登るときは、必ず単独で行動します。
家族や仲の良い友人と行動する方が楽しいと思うかもしれませんが、私の場合は、独りになってじっくりと自然と向き合うことが重要なのです。
そのためには、他人の存在は邪魔なんですね。心の状態をニュートラルに戻すためには、必ず単独行動ですね。
壮大な景色が見られる場所を選ぶ
自分がちっぽけな存在だと感じると、くよくよしていることが馬鹿らしく思えてきます。
そのためには、できるだけスケールの大きい自然の中に身を置くことです。
私は、高い山の頂上を目指します。稜線に出た時の圧倒されるような景色や頂上の360度の大パノラマを身体全体で感じ、くよくよしたつまらない感情を昇華させています。
また、夜の星空を眺めるのもいいですね。
特に空気が澄みきっていて街の明かりも届かない山中で夜空を見上げると、大宇宙の中に吸い込まれていくようで、とても清々しい気分になれます。
マイナーな場所を選ぶ
私は、大自然に会いに行くときは、誰もが知っている有名な場所やルートはできるだけ避け、誰も来ない場所に行って「この壮大な自然の中にいるのは自分だけ」という状態を作ります。
人里離れた大自然の中で一人ポツンと佇んでいると、ふと怖くなったり寂しくなったりしますが、このたまらない孤独感が、真剣に自然と向き合うためにはとても重要な要素なんです。
まとめ
心を癒すためには、大自然と向き合うことがいかに大切かをおわかりいただけたでしょうか。
私たちのような中高年は、若い頃のような刺激を求めてストレスを発散させるようなパワーはなくなりつつあります。
また、私は、人間だけが持つ文明というものは、神(自然)の摂理に逆行した存在だと思っています。
心が本当の「幸せ」を感じることができるのは、他の生き物と同じように自然の中で生きることだと思うのです。
私たちが日常生活で気付かなくても、それが人間のDNAにしっかりと組み込まれているのです。
ちょっと極論でした(^^ゞ
ただし、心が疲れ果ててしまい、外出することすら困難になると、その状態は本当の病気ですので、躊躇せずに文明(医療)の力を借りることも必要です。
私も何度か心療内科の先生にお世話になりました。
薬の力の助けで、大事に至る前に症状の悪化を食い止めることもできました。
でも、何とか文明の力を借りずに、自分の中に秘めている力で心の疲れを癒したいものです。
それには、心の病み始めの気付きがいかに大切かということです。