私は、中高年の域に達してから早朝ウォーキングをたしなむようになりました。
ウォーキングを始めた当初の理由は、うつ的症状が続いて生活に支障をきたし始めたからです。
朝日を浴びて反復運動をすることが、うつ改善に効果的だということを知り、苦しい精神状態からなんとか脱却したいと藁をもつかむ思いで始めたのでした。
そして、早朝ウォーキングを続けていくうちに、うつ症状の改善だけではなく、他にもいろいろな効果があることを実感するようになりました。
早朝ウォーキングの効果
生活リズムの改善
朝日を浴びる
朝日を浴びることでメラトニンの分泌とセロトニンの合成を促進します。
それにより、生活リズムを規則正しく保つことができます。
朝、強い光を浴びるとメラトニンの分泌量は減少し、夜、暗くなってくると分泌量が増えます。メラトニンが分泌されることで睡眠の準備が出来たと体が認識し、睡眠に向かわせる作用があります。
朝日を浴びて規則正しく生活することで、メラトニンの分泌する時間や量が調整され、人の持つ体内時計の機能や生体リズムが調整されるのです。
朝日を浴びると脳内でのセロトニンの合成が活発になります。そして夜になるとセロトニンの分泌量は減り、セロトニンからメラトニンが作られます。睡眠に欠かせないメラトニンはセロトニンからつくられるので、昼はセロトニン、夜はメラトニンのが生成が理想的に促されるためには、朝の光を浴びることがとても大切です。
反復運動(リズム運動)
ウォーキングによる単調な反復運動は、刺激がなくてつまらないと思うかもしれません。
しかし、反復運動をすることで、脳内のセロトニンが増加するといわれています。
特に朝の反復運動は、先に説明したようにメラトニンとの関係においても、心身の状態の安定にとても有意義に働いてくれます。
ストレス解消
脳内のセロトニンの増加が精神を安定させ、ストレスを静めてくれます。
また、それに加えて、軽い運動で体に刺激を与え続けることにより、脳内のエンドルフィンという神経物質の分泌が促されます。エンドルフィンは「体内性モルヒネ」「脳内麻薬」とも呼ばれ、神経を落ち着かせてストレスを解消させる効果があることが知られています。
・注意力、集中力、記憶力を覚醒させる。
・免疫力を高め、体の修復力を高める。
脳の活性化
運動をすることで脳への血流が促進され、酸素やエネルギーが供給されることによって、脳は常に活発に活動している状態になります。
特に朝に運動を行うと、頭がすっきりと冴えた状態で一日を過ごすことができるため、効果がより長く続くことになります。
ダイエット効果
運動によりダイエットをするためには、体内の脂肪を燃焼することが必要です。
運動には無酸素運動と有酸素運動の2種類があります。短距離走やウエイトトレーニングなどの瞬発的なパワーを要する無酸素運動は、筋肉に貯められている糖質(グリコーゲン)をエネルギー源とします、一方、散歩やエアロビクスなど低負荷の運動を長時間かけて行う有酸素運動は、主に脂肪がエネルギーとして使われます。ただし、有酸素運動も最初は糖質が消費され、時間の経過とともに脂肪の燃焼に切り替わります。その時間は通常は20分と言われていますが、起床直後の空腹時はエネルギーが枯渇していて糖質が使える状態ではないため(=血糖値が低い状態)、早くから脂肪をエネルギー源とすることになり、早朝の有酸素運動はダイエットに向いているのです。
また、朝に運動することで一日中基礎代謝が高まった状態で過ごせるので、エネルギー消費効率が良くなり、結果としてダイエット効率が良くなります。
早朝ウォーキングの方法
何時頃から?
仕事をしている方は、仕事の開始時間から逆算してスケジュールを組む必要がありますので、ウォーキングの時間帯は人それぞれだと思います。
しかし、暗いうちからの散歩は効果が薄いですし、起床後すぐに運動を始めるのも身体に負担をかけることになりますから(特に高齢者)、起床後、コップ1杯の水でも飲んで、身体を覚醒させてからウォーキングに出るといいと思います。
私のように時間が自由にとれる生活をしている方でも、1日の生活リズムを良好に維持するためには、遅くとも午前8時ごろまでにはウォーキングを開始した方がいいでしょう。
それよりも大切なのは、生活リズムを安定させるために、平日や休日に関わらず、毎日同じ時間帯に行動することが大切だと思います。
何分歩けばいい?
歩く時間は多くても少なくてもいけないと感じています。
脂肪燃焼の関係から考えた場合、15分以上1時間以内が理想です。
1時間以上も歩くと、脂肪ではなく糖質(グリコーゲン)を燃やしてカロリー消費をし始めてしまい、逆に基礎代謝が落ちて痩せにくくなるそうです。
ダイエットに関心のない方ならそれでもいいのかもしれませんが、あまり頑張りすぎると疲労が蓄積して、心身の健康維持のためには逆効果になってしまいます。
歩き方は?
歩くときに一番大切なのは背筋です。背筋を伸ばし、頭が引っ張りあげられているようなイメージを意識してください。
歩いているうちに、だんだん疲れてくると姿勢が崩れやすくなります。背筋がちゃんと伸びているわからなくなってきたときは、歩きながら両肩をぐっと上に限界まで持ち上げ、そのままゆっくりと肩だけを静かに降ろしてそのまま姿勢を保ちます。私はこの方法で、背筋が伸びているか常にチェックしています。
足の運び方は、かかとから着地してつま先で後方に蹴り出すようにして歩きます。体重移動の一連の流れは、かかと→足の外側→小指の付け根→親指の付け根→親指の順に移動するような感覚で歩くことが理想です。
歩幅はできるだけ広くとり、歩くスピードはいつもより速くすることを意識してください。
意識的に腕を振ります。ウォーキングでは腕を振ったほうが動きにリズムが生まれやすくなり、自然と歩くスピードも増して、大きな運動効果も得られます。腕を振る時は肘を90度くらいに曲げて軽くこぶしを握るようにするといいでしょう。意識して肘を動かすことが大切です。
このように、姿勢を正してリズミカルに歩くことを心がけましょう。
早朝ウォーキングで注意すべきこと
起床時に体調をチェックする
起床時に必ず体調をチェックしてください。発熱や頭痛、からだ全体の倦怠感、また動悸がしたり単に気乗りしない場合などの異変があれば、ウォーキングを中止するか時間を短くするなどして調整してください。
また、起床後すぐのウォーキングは、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすリスクが高まります。最低でも起床後30分間は身体の様子を見ながら徐々に覚醒させるとともに身体中に血流を循環させて、それからウォーキングをスタートするようにしましょう。
水分補給をしておく
寝ている間に相当量の汗をかくので、起床時は身体の水分が少なくなっています。起きがけに水分補給もせずに運動をすると、血液がドロドロになって血管が詰まってしまう恐れも出てきます。起きたら水分補給をしてから出かけましょう。
水やお茶もいいのですが、牛乳がおすすめです。
牛乳に含まれるアルブミン(タンパク質)は、血管の中の水分量を増やす働き(血液の浸透圧の調節機能)を持ってます。
牛乳を飲むことで、起床時のドロドロになった血液もサラサラになります。
飲む量は、200ml程度で良いと思います。
低血糖に注意
起床後のエネルギーが枯渇している状態(=低血糖の状態)で運動すると、脂肪が燃えやすくダイエット効果も高い状態ですが、目眩がしたり意識が朦朧としたりすることもあって、場合によっては不整脈を誘発する危険な状態に陥ることもあります。
このような危険性は人それぞれで個人差がありますが、特に高齢者は注意が必要です。
起床時には少量で構わないのでバナナなど簡単にエネルギーが吸収できる食べ物を摂取し、少し時間を置いてからウォーキングに出掛けるようにしましょう。
徐々に慣らす
歩き始めの10分間は身体と相談しながらゆっくりと歩き、それからペースを上げていきましょう。
最後に
早朝ウォーキングは、生活リズムの改善、ストレス解消、脳の活性化、ダイエット効果と、良いことづくめです。
新鮮な空気、柔らかな日差し、静寂、小鳥のさえずり・・・、早朝は日常の喧騒から解放される素晴らしい環境を与えてくれます。ただじっとしているだけでも心が洗われるようです。そして、心がリセットされて、今日一日を頑張ろうという意欲も湧いてくるのです。
特に、最近気分がすぐれない、うつっぽくなったと感じる人は、ぜひ早朝散歩をおすすめします。