中高年もテント泊を楽しもう

テント泊の夜

登山のテント泊というと、私の若い頃のイメージは、とてもマニアックな世界で、頑強な山男が重装備で楽しむものだと思っていました。
だから、華奢な私は、せいぜいどこかの高原でオートキャンプをすることくらいしか考えつきませんでした。

しかし、今では装備品の技術改良も進み、テントやシュラフもとても軽くてコンパクトになったので、私のような中高年でも3000メートル級の山岳でテント泊ができる世の中になりました。

宿泊登山といえば、山小屋を利用することが一般的ですが、テント泊でしか味わうことのできない魅力がたくさんあります。
その魅力を体感したいがために、わざわざ重い荷物を背負い、面倒なテント設営や自炊をするのです。

それでは、私の体験から、テント泊の楽しみ方についてお話ししたいと思います。

 

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テント泊の魅力

テント場でくつろぐ登山者

テント泊の一番の魅力は、何といっても非日常感を体験できることでしょう。
日帰り登山や山小屋泊の登山にはないサバイバル的な非日常感にどっぷりと浸かることができます。

また、テントやシュラフを始めとした装備品を揃えるのも楽しいですし、それを使いこなせるようになった時の喜びもいいものです。

そして、必要な装備を揃えてしまえば、山小屋よりも安く泊まれることができます。

ほとんどのテント場は予約制ではないので、行動の自由度も高いです。
行程スケジュールの進み具合によっては、別のテント場に変更することも引き返すことも可能です。また、あってはいけないことですが、日没までに目的地に到着できず、途中でビバークすることも選択できます。(国立公園内は指定されたテント場以外にテントを張ることは禁止されていますが、ビバークすることは認められています)

テント泊にはいろいろな魅力が詰まっています。
魅力の詳細については、次の記事に書いていますので、参考にしていただけたらと思います。

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雪山をバックにテント3張り

テント泊の楽しみ方

いつもより余裕のある行動計画を

登山の行動計画書

テント泊は重装備になるので、日帰り登山のように軽快に歩くことができません。特に登りはとてもきついです。
途中の休憩回数も増えて、テント場への到着予定時刻を大幅にオーバーすることもしばしば・・・
行動計画はおおげさなほど余裕を持たせて作りましょう。
たとえ早く到着しても、テント場ではいろいろな楽しみがあるので、時間を持て余すことはありません。

無駄な物は持って行かない

登山の準備品

テント泊の目的は非日常の生活を楽しむことですから、テント生活に直結する必需品以外は持って行くべきではないと考えています。
娯楽品などはもってのほかで、荷物の重量が増えるだけでなく、せっかくのサバイバル体験が色あせてしまいます。
私は、ただ山や空や星を眺めているだけで、とても満足です。

疲れないバックパックを

60リットルのバックパック

テント泊では、衣食住を詰め込めば、最低でも積載量が50リットル以上のバックパックが必要になってきます。

最近のバックパックは、機能的で疲れを感じさせない構造のものがたくさん出回っています。
その中から、自分の体形に合ったものを選びましょう。
ウエストハーネス(腰ベルト)でしっかりと腰で支えられるかどうかがポイントです。
本格登山では、ハイキングのようにショルダーハーネス(肩ベルト)で背負うのではなく、腰で荷重を支えます。ショルダーハーネスはバランスを保つための補助的役割に過ぎません。
腰で支えるからこそ、手では持てないような重い荷物でも長時間担げるようになるのです。

そのほか、いろいろと注意する点があります。
バックパックの選び方の詳細については、また別の機会でお話ししたいと思います。

「食事は山小屋で」という手もあり

山小屋の食堂

テント場には、必ずと言っていいほど近くに山小屋が併設されています。
山の生活を満喫するのに食事を作る手間も惜しい、または、体力的に不安で荷物を極力減らしたいというときは、食事は山小屋で済ますという手もあります。
その場合は、宿泊なしでも食事を提供してもらえるかを山小屋に確認し、予約をしてから向かいましょう。

まずは設備の整った近郊の山から

テント泊に挑戦すると決まったら、まずは設備の整った近郊の山で体験してみましょう。
山に登らなくても、車で乗り付けられる高原のテントサイトでもいいです。
テント設営の仕方、撤収の仕方、山での過ごし方、困ったこと、気を付けなければいけないことなどを、実体験を通して学習し、それから本格的な登山へと進めば、安心してテント泊を楽しむことができますね。

テントをベース基地にして身軽な登山を

私のテント泊スタイルは、頂上へアタックするための基地としての利用がほとんどです。
時には2~3日をかけて、同じテント場で滞在したり、場所を移動したりして、さまざまな山の頂上を目指すための準備と登り終えた後のエネルギー補給の場になっています。

テント内には重い荷物を置いたままで、入口に鍵を掛けます。そして、アタックザックというコンパクトな携帯用ザックに水分や行動食など必要最小限の荷物と貴重品のみを背負って、軽快に登山を楽しんでいます。
アタックザック
(愛用のアタックザック アライテントのRipen)

ベース基地としてのテント泊があるから、私のようなおいぼれでも、登山口から遠く離れた山の頂上を目指すことができます

 

テント泊の必需品

特にテント泊で必要となるものだけ挙げてみました(通常登山でも必要な物は省略しています)。

テント本体、グランドシート、ペグ、ハンマー、細引き綱、シュラフ、シュラフカバー、エアマット、サンダル、クッカー、バナー、ガスカートリッジ、ライター、スプーン・フォーク・ナイフ、食材、ヘッドライト、南京錠(入口施錠用) など

テント泊の必需品について、必要な理由や使い方などは、次の投稿で詳しく説明しています。

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どんなテントを選んだらいいか

いろいろな登山用テント

特に、私のような体力が衰え始めている中高年にとって、初めてテント泊に挑戦するためにはどんなテントが良いかを考えてみたいと思います。

まずは、軽量コンパクト、次に設営・撤収のしやすさですね。
この2点を踏まえた上で、快適性や耐久性などを考えていけばいいと思います。

くわしくは、こちらで説明しています。

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テント設営時に確認すべきこと

平坦で傾きのない場所を選ぶ

テント場によっては、きちんと区画されてきれいに整地されているところもあれば、石ころだらけだったり平坦な場所が少ないところもあります。
テントの接地部分は薄いシートだけなので、少しの石ころでも気になるものです。
また、地面に傾きがあれば、寝ているときに、シュラフが滑ったり、寝付けなかったりします。
これらの感じ方は、人によって個人差がありますが、快適なテント生活を過ごすためにも、テント設営場所は、できるだけ平坦な場所を選び、石ころなどがあれば、設営前に全て除去しておきましょう。

出入口を風下に

山の上では、天候の状態が急変することが多々あります。
特に稜線にテントを張っているときは、普段では考えられないような突風や豪雨に悩まされることがあります。
しっかりとした登山用テントは、こうした過酷な気象条件にも耐えられる構造になっていますが、どうしても出入口がウイークポイントなんです。
出入口を開けるたびに雨や風がテント内に入り込み、最悪の場合は、テント内で行き場を失った風がテントを押しつぶしてしまう危険性もあります。

したがって、テント設営時は、しっかりと風向きを確かめて、出入口を風下になるようにセッティングしましょう。
天候が安定していないときは、天気予報を確認し、朝までに風向きと風の強さがどう変化するか予測した上で判断することが大切です。

ペグが打てるか確認を

ペグとはテントを地面に固定するためのクギのような道具です。
登山テント用のペグ

地面が硬かったり岩石質の場合はペグが打ち込めないので、テントを張る前に、ペグが打てる状態かどうかを確認しましょう。

テント場に着くと、すでに空いている場所はどこも地面の状態が悪く、ペグが打てないことがあります。
そのような場合は、周囲の大きな石や木などにテントの張り綱や細引きを巻いて、テントをしっかりと固定しましょう。

フライシートはインナーテントと接触しないように

ダブルウォール式のテントの場合は、インナーテントの上にフライシートを被せます。
フライシートがインナーテントと接触していると、フライシートに付いた結露の水滴がテント内部に浸透し、シュラフや衣類を濡らしてしまいます。
そのことに注意して、設営時にはしっかりとフライシートを張りましょう。

 

テント泊の注意点

どこでも設営はできない

テント設営禁止マーク

山岳地帯は、国立公園・国定公園や自然公園のエリア内であることが多く、国や自治体が厳しく規制をしており、動植物の保護や山火事防止の目的からキャンプは原則禁止となっています。
テントを張ることのできる場所は、国や自治体の許可を得ているキャンプ地だけで、それ以外の場所でテントを張ることはできないと考えておいた方がいいでしょう。
(ただし、日暮れまでに目的地に到着できなかったり、アクシデントがあって動けなくなってしまった場合など、緊急避難的にビバークするためにテントを張ることは、認められています。)

テント場には早めに着くこと

山では午後からは天候が急変しやすいので、昼過ぎにはテント場につくことが理想です。

また、ハイシーズンや人気の山だと、到着が遅いと空きスペースがないこともあります。

どうしても到着が遅れる場合でも、暗くなってテント設営で困らないために、遅くとも日没の2時間前には到着しておくべきです。

テント場に着いてからテントを設営したり食事の支度など、いろいろとやることがあるので、なるべく早く到着し、設営と食事を済ませましょう。

グループ登山では共同テントを

プライバシーを楽しむ傾向から、グループ登山をしていても個人でテントを張る人が増えてきました。
キャンプ指定地の敷地は限られているので、個人個人でバラバラにテントを張ると、スペースがなくなってしまいます。
そのため、グループでテント泊を計画する場合は、なるべく2~3人や3~4人テントを使うのが望ましいです。

ふとしたことが周囲の迷惑に

涸沢のテント場

有名な山のテント泊では、狭い場所にひしめき合って色々なテントが並んでいる情景が目に浮かびますね。

そこで、気を付けなければいけないことがあります。

下界の住宅地と違って、テントと外とは薄いシートで隔てられているだけです。
ちょっとした物音や話し声でも、外によく聞こえます。

また、登山者は、一般的に早寝早起きです。
夜になるとすぐに就寝し、夜が明ける前に起きてテントを撤収して、次の目的地に向かったり下山したりする人が多いです。

テント場では、自宅にいるような感覚でいると、思わぬことで周囲に迷惑をかけていることがあります。
特に中の良いグループでテント泊をしていると、夜になってもワイワイガヤガヤといつまでも騒いでしまいがちです。

翌日の行動のためにしっかりと疲れを癒している登山者のためにも、テント場では、必要以上に周囲に気を使いましょう。

 

まとめ

さあ、中高年の皆さん。登山が楽しくなってきたら、今度はテント泊に挑戦してみましょう。
日常のストレスから一気に解放されて、活き活きとしたセカンドステージが送れること間違いなしです。

そのためには、いつまでもテントを背負って歩ける体力を維持できるよう、日頃からの鍛錬が必要ですね。