早朝登山のすすめ

坂を登る登山者

時間を要する重登山やテント泊をする場合などは早く登り始めるのは当然ですが、私は、短時間で登れる日帰りの低山でも、必ず早起きして早朝から山に向かいます

「たまの休日は、ゆっくりと行動を開始したい!」「もっと寝かせて―」と、朝が苦手な人が多いと思いますが、辛い思いをして頑張って早起きすれば、きっとそれに見合った、いやそれ以上の満足感を味わえることができるのです。

それでは、私のこれまでの早朝登山の経験から、シロウトながら気付いたことをお話ししたいと思います。

 

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早朝登山をおすすめする理由

山は午後から天候が崩れる

特に夏季の時期が顕著ですが、山の頂上付近は、午後になると天候が急変することがしばしばです。
本当に秒刻みに天候が変化します。
急な突風や雨だけならまだしも、雷雲が発生し、落雷の被害に遭う危険性があります。

登山中に発生した雷雲

森林限界を超えた岩場や尾根伝いなど、隠れる場所のない登山道を歩いているときに雷雲が湧いてきたら、もう生きているここちがしませんよね。
だから私は、日帰り登山の場合は、昼前には頂上に着いて、昼食をとって少し休憩したら、早目に山を下りることにしています。

雪崩の危険を避ける(冬登山の場合)

雪崩は、雪面の温度が上昇する午後に起きやすいです。
雪山登山の場合は、いくら朝は寒くても、しっかりと防寒をして早目の登山を心がけましょう。

時間に余裕が生まれる

休憩する登山者

早朝から早め早めに行動すると、行程スケジュールに余裕ができ、それが心の余裕に繋がります。
そして、心の余裕が登山の楽しさを増し、さらに怪我の防止にもつながるので、早朝登山は一石二鳥にも一石三鳥にもなるんです。
こうして周辺の景色や高山植物をゆっくりと鑑賞しながら、自然と同化することが登山本来の楽しみだと思います。

早朝の景色が抜群

早朝は景色がとても素晴らしいです。
朝焼けの空と、晴れて冷えた朝に出現する雲海の素晴らしさは、言葉に言い表せないほどの感動を与えてくれます。

西穂高から眺める雲海

また、だんだんと空が白々と明けてゆくにつれて全ての生き物たちが徐々に活動を始めるあの感覚は、とても清々しくて、得した気分になります。

登山後の余韻を楽しむ

登山を終え、日が暮れる前に自宅に着くと、衣類や食器を洗ったり後片づけをして、シャワーで汗を流した後も時間の余裕があり、しっかりとその日の疲れを癒すことができます。
私は、ゆっくりとコーヒーを飲みながら(下戸なので酒はやりません(^^ゞ)、その日の出来事を登山日記に記すことが、登山後のひとつの楽しみになっています。
これが夜遅くに帰宅するようなことだと、いろいろなことができずに翌日回しになり、その日の余韻を楽しむこともなく轟沈、そして翌日は疲れを残したまま出勤、なんてことになります。

 

早朝登山で注意すべきこと

準備は必ず前夜に済ませておく

登山の準備は、前日までに完璧に終わっておくが重要です。

登山の準備品

私も、以前は「どうせ早起きするので、目覚ましがてら当日に準備すればいいや。」と、前日は準備品を確認するくらいでした。
しかし、そんなときは決まって当日の準備に時間がかかり、出発が予定よりだいぶん遅れることがほとんどでした。
また、焦って準備するので、忘れ物が多く、家を出てから気がつくといったことの繰り返しでした。

今では、当日の朝に準備するのは、ボトルに詰めるためのお湯を沸かすことくらいです。
何事も余裕が大切ですね。

朝食は早めにしっかりと

早朝からの運動を考えて、朝食は消化のいいものを早めに、そしてしっかりととっておくことをお薦めします。
私は時間が惜しいので、出発後の車の中で朝食をとりますが、自宅で朝食をとることがいいですよね(反省)

登り始めの慣らしは入念に

登山口に着いて、いざ登り始めるのですが、頭は起きていても身体がまだ十分に起ききっていないので、少なくとも最初の30分間は、ゆっくりと亀ペースで身体を慣らしながら登りましょう。

登山を楽しむ仲間たち

気持ちが良くて、ついついペースを上げたくなりますが、周辺の景色をゆっくりと見ながら、「登山」というより「散策」というイメージで、スローペースで歩きましょう。30分も動けば身体が馴染んできて、アップダウンに身体がうまく反応してくれるようになります。

特に私のような初老に差し掛かっている人は、筋力不足と身体も硬くなっているのに無理をする人が多いので、要注意です。
最初の30分間は特に意識して入念に暖機運転をしましょう。

 

ケースごとの登山計画

 

近郊の山の場合

近郊の山の場合は、割りと標高が低くて、登り慣れた山が多いので、ついつい行動計画がルーズになりがちですが、アクシデントはそういった何でもない時に起きるものなので、油断せずにしっかりとした準備をしましょう。

日帰り登山

低山の場合はそんなに頑張って早朝から登り始めなくても構わないと思いますが、標高の高い山(1500m以上)に登る場合は、頂上までの所要時間や天候の急変も考えて、少なくとも夜が明ける頃から登り始めることをお薦めします。

宿泊登山

宿泊地点に昼頃に到着することを考えて、それから逆算して登山開始時間を決めるといいと思います。
したがって、低山の場合は、何が何でも早朝登山にこだわらなくてもいいと思います。
ただし、下山時は余裕を持って午前中から下山を開始することをお薦めします。

 

遠方の山の場合

遠征する場合は、割りと標高が高くて有名な山に向かう場合が多いと思います。
そうした本格的な登山を楽しむためには、必要以上に余裕を持ったスケジューリングが大切です。

日帰り登山

遅くとも夜明け頃には登山口に着くよう、逆算して自宅を出ましょう。
私の場合は、島根県の自宅から900km以上離れた北アルプス方面に向かうことが多いので、前日の夕方にはマイカーで家を出て、途中のパーキングエリアで4時間程度の仮眠をとり、早朝までに目的地に到着するようなスケジュールを立てています。
車中の仮眠だけでも不思議と熟睡できて、長距離ドライブでも全く疲れは生じません。登山をするようになって、身体がそういう生活に慣れているのだと思います。
さらに日程的に余裕があるときは、前日の日中に自宅を出て、その日は目的地近くの旅館で一泊し、十分に鋭気を養ってから、翌日の夜明け前に宿を出るようにしています。

宿泊登山

出発は、日帰り登山の場合と同じです。
登山当日は、特にテント泊の場合は背負う荷物が重くなるので、いつもより余裕を持たせた行動計画を立てています。
中高年にでもなれば、テント・シュラフ・食材などを担いで登るのは、本当に至難の業です。私の場合、バックパックの重さが最低でも15kg程度にもなります。いつもは軽快に登れる山でも、これだけの重さになれば急激に歩みが遅くなります。したがって、登山資料に書かれている標準行程時間の倍の時間を見込んで計画を立てています。
体力のない私でも、焦らずにゆっくりと着実に歩みを重ねていけば、3000m級の山でもいつの間にか登れてしまうものなんですね。

 

まとめ

早朝登山をすることで、朝の澄み切った美味しい空気が身体中に浸透し、心も体も一気にリフレッシュ!
さらに時間に余裕ができることで、これまで頂上に登るためだけに使っていた時間とパワーを、じっくりと大自然と対峙するためにも使えます。
きっと登山が清々しく楽しいものに変わっていくと思います。

富士山を眺める登山者