中高年の登山にはトレッキングポールを

トレッキングポールを持つ登山者

トレッキングポールとは、歩行の手助けをするための杖のようなもので、トレッキングや登山専用に作られたものです。
登山ポール登山ストックとも呼ばれています。

私は膝が弱いため、登山のときは、いつもお守り代わりにトレッキングポールを持参しています。
トレッキングポールには極力頼らないようにしていますが、ここぞというときに助けてもらっています。
私の大切な相棒です。(^^ゞ

トレッキングポールは、一般的な杖とは異なり、両手に2本持つことで有効に機能するものです。

それでは、トレッキングポールの使い方や注意点などを簡単に説明していきます。

 

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トレッキングポールが必要な人は

トレッキングポールは、身体的に衰えを感じ始めている中高年には、必ず役立ってくれます。

具体的には、次のような人には必須のアイテムだと思います。

● 足腰の筋力が不足している人

● 膝や腰の痛みを抱えている人

● 身体のバランス感覚が悪い人

 

トレッキングポールのメリット・デメリット

メリット

膝の負担が激減する

膝を抱える人

これは、私が最も感じている効果です。

私は、以前は登山の度に膝痛に悩まされていましたが、トレッキングポールを使うようになってからは、それが嘘のように改善しました。

登山では、常に膝の関節と筋肉を酷使します。特に下り坂では強い衝撃を伴います。
このとき、トレッキングポールのサポートがあれば、着地の際の衝撃を和らげることができるので、膝への負担が一気に解消できます。

また、テント泊などの重装備の登山時には、下半身にかかる負担を軽減することができます。

バランスをとりやすい

バランスをとる登山者

トレッキングポールを使えば、2本の足が4本になります。
着地後に次の1歩を踏み出すまでの間、片足1本で身体を支えていたのが、2本ないし3本で支えることができます。

特に地形の悪い場所を歩くときは、効果絶大です。

長距離歩行が楽になる

足首、膝、腰、アキレス腱など下半身にかかる負担を軽減するため、長い距離の歩行が楽になります。

他の用途にも使える

ツェルトをテント代わりに

ビバークする際には、ツェルトの支柱にしてテント代わりにすることができます。

また、けが人や病人が出た時には、急造担架のフレーム代わりにもなります。

ほかにもいろいろな使い方があると思います。
私は、登山者があまり立ち入らないマイナールートが好きなのですが、草木が生い茂った登山道にクモの巣が張っていることが多いため、身体にまとわりつかないように、トレッキングポールで蹴散らしながら歩いています(^^ゞ

デメリット

邪魔になる

長い物なので、使わないときはとても邪魔です。

最近のトレッキングポールは、軽くて伸縮できるものがほとんどなので、使わないときは縮めてバックパックにくぐりつけておけばいいのですが、いざ使う時には面倒です。

私は、必要な時にサッと使いたいので、急峻な岩稜帯を歩くとき以外は、必ず片手に2本束ねて持ち歩いています。
片手が塞がりますが、軽いものですし、慣れればそんなに苦ではないです。

軽快に歩けない

慣れの問題もありますが、トレッキングポールを持っていると、俊敏な動きが失われます。

筋力があり、バランス感覚にも長けている人は、トレッキングポールを持たない方が軽快に歩くことができるでしょう。

バランス感覚が鍛えられない

トレッキングポールに慣れると、ついつい頼ってしまって、自分自身が持っているバランス感覚を忘れてしまいます。

登山では、いろいろな地形を歩いて、バランス感覚を養うことがとても重要です。
しかし、あまりトレッキングポールに頼ってしまっては、バランス感覚を鍛えることができません。

頼りすぎると危険

トレッキングポールに身を完全に預けてしまうと、ポールが滑った時や突き間違えたときに、そのまま体ごと転倒してしまいます。

自分の両足でしっかりと地面をとらえることをイメージし、トレッキングポールはあくまでも歩行の補助として使用することが大切です。

 

トレッキングポールの選び方

トレッキングポールは、いろいろなメーカーからさまざまな種類のものが販売されています。

どんなトレッキングポールを選んだらよいかについては、次の記事を参考にしてください。

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4本のトレッキングポール

 

トレッキングポールの使い方

長さの調整

トレッキングポールは、長さが調整できるようになっています。

伸縮するトレッキングポール

通常はトレッキングポールを地面につけた時に、肘の角度が90~100度の間に曲がるように調整することが望ましいといわれています。
私の感覚では、腰骨の位置から若干(数センチ程度)高めの位置がベストポジションです。

ただし、登山道は平たんではなく、登りや下りなどのパターンでトレッキングポールを突く位置も変わってくるので、それに合わせて長さを調節し直す必要があります。(上り坂では短めに、下り坂では長めにしないと腰高のベストポジションが得られません)

持ち方

トレッキングポールの持ち方

グリップにはストラップが付いているので、ストラップの内側から手を通し、次にストラップの上からそのままグリップを握ることで、不意にトレッキングポールを手放しても落とさなくなり、また、軽く握ることができる安心感から手首への負担も和らげることができます。

しかし、私はストラップに手を通すことはほとんどしません
登山道の起伏は一様ではないので、傾斜や地形の状態によって微妙に持つ位置を変えています。時にはグリップの頭の部分を上から持ったり(下り坂)、逆にグリップより下のポール部分を直接持ったり(上り坂)、ちょこまかと臨機応変に対応しています。
また、平坦道のようにポールを突く必要のない時は、片手に持ち替えて、トレッキングポールを使わずに颯爽と歩いています。
このように、頻繁に持ち方を変えながら歩いているので、ストラップに手を通すことはできないのです。
私の経験上、トレッキングポール手放して崖下へ落としてしまいそうになったことは一度もありませんでした。
まあ、これは邪道な持ち方なのかもしれませんが・・・

突き方

登り

登りでは、次の足が出る位置かその少し前あたりに反対側のストックを垂直に突きます。
そして、足とストックに重心を移しながら後ろ足を引き上げます。

足が疲労が激しい場合や高低差が大きい場合は、両方のストックを前に突いて、ストックの力で登り切る方法も有効です。

下り

下りでは、次の足が出る位置の一段下に突いてから、足を着地させます。
(登りの時よりも少し前方の位置に突く感じです)

身体が前屈みにならないように、トレッキングポールは長めに調節しましょう。

歩幅は平地の半分以下にして、体重がストックにかかりきらないようにすることが大切です。

平地

平地の場合は、特にトレッキングポールを使う必要性はありませんが、トレッキングポールを使って軽快に歩くこともできます。

この場合は、若干ポールを短めにして(グリップが足の付根あたりにくように)、自分の身体の少し後方を突きながら胸を張って歩くと、推進力がまして、そしてリズミカルに歩くことができます。

全身を使って颯爽と歩くノルディックウォークの感覚ですね。

急峻な坂や起伏の激しい岩場

急峻な岩稜に挑むときなど、起伏の激しい場所では、3点歩行で安全に踏破しなければなりません。

トレッキングポールはバックパックに収納するなどして、両手をフリーな状態で慎重にアタックしましょう。

先端の形状

トレッキングポールの先端は、金属製で割りと尖った形状をしています。
一般的なトレッキングポールは、金属製の先端にラバーキャップが付いた状態で販売されていることが多いです。

ラバーキャップを付けて

トレッキングポールのラバーキャップ

一般的な登山道では、ラバーキャップを取り付けることをおすすめします。

一番大きな理由は、登山道(特に木道)や木の根、植物などを保護するためです。
また、尖った先端で人に怪我をさせないようにするためにも必要です。

ラバーキャップを外して

トレッキングポールの石突

雪道やアイスバーンでは、雪面にしっかりと刺さらなければ滑ってしまうので、ラバーキャップは外して使います。

岩場などの硬い地面を歩くときも、ラバーキャップは滑りやすいので、外して使用する方がいいと思います。
(そもそも、岩場ではトレッキングポールを使わない方が安全な場合が多いですね)

スノーバスケットを付けて

トレッキングポールのスノーバスケット

トレッキングポールには、もともと小さめのバスケットがついています。
これは、ぬかるみや深いジャリ道などで、ポールの沈み込みを防ぐためのものです。

しかし、雪道(特に深い新雪)では、このバスケットでは役に立ちません。
こんなときは、スノーバスケットといって、大きい傘のようなバスケットがオプションで販売されているので、それに付け替えます。

まとめ

トレッキングポールは、あくまでも補助器具です。

常にトレッキングポールに身を預けるのではなく、必要によって有効に使いましょう。

車の運転と同じで、トレッキングポールを使い始めた頃はぎこちなくても、使い続けていくうちに、自然と自分の手足のように快適に使えるようになると思います。

さあ、トレッキングポールで怪我や疲労を防止し、登山ライフを楽しくエンジョイしましょう!

佇む登山者(夕日のシルエット)