登山は自然が相手ですので、時として想定していない事態に遭遇することがあります。
荒天、怪我、体調不良、道迷いなど、そういった状況に置かれても常に落ち着いて行動できるよう、前もって準備しておくことが肝心です。
それには日頃からの訓練と登山当日の準備が大切です。
今回は、私の登山経験から、まさかのときのために役立つ必需品を紹介したいと思います。
まさかのときのための必需品
スマートフォン
非常時に家族や警察などに連絡するためにとても重要なツールです。
山中では電波が届かないことが多いですが、電波塔から離れていても、地形や方向によっては、とぎれとぎれでも電波が受信できる場合もあります。
レインウェア
山の天気はとても変わりやすいです。晴天の日であっても、15時以降になると天候が急変することも珍しくありません。
突然の雨に対応できるように、常にザックにレインウェアを収納しておきましょう。
ザック用レインカバー
レインウェアと同じく、突然の雨に降られたときは、ザックの中を水浸しにさせるわけにはいきません。
ザック用のレインカバーも必須です。
十分な水
水分は生命維持に最も重要な物質で、いうまでもなく必需品です。通常の水分補給のためだけでなく、道迷いによる遭難など万が一の場合も考えてできる限りの量の水を携行しておくと安心です。
水はとても重いので、そんなにたくさん携行できません。体力やザックの容量と相談して決めましょう。
私は、500ml程度のペットボトルに小分けして、最低でも2リットル以上は持って行くようにしています。
お茶やスポーツドリンクでもいいですが、真水なら調理に使ったり、手や傷口を洗ったり、いろいろなことに利用できるので、私はいつも水以外は持って行きません。
ミネラル補給食品(塩飴など)
登山中は、発汗により水分と共に塩分などのミネラルも失われていきます。ミネラルが欠乏すると、熱中症を引き起こしたり、筋肉に痙攣が起きたり、さまざまな症状が出やすくなります。
水分補給と同時に忘れてはならないのは、ミネラル補給です。
嵩張らず行動中に摂取しやすい飴やタブレットがいいですね。
ヘッドランプ
道に迷って下山が日没後になったり、山中でビバークしなければならなくなったときには、足元やザックの中などを照らす光が必要です。
常にヘッドランプと予備電池を携行しましょう。
地図とコンパス
登山ルートと現在位置を確認するために、地図とコンパスは必須です。
コンパスを使って地図を読み解く技術があれば、現在位置や進む方向を確認することができます。
しかし、この技術を完璧に習得するのは大変で、計測もとても面倒なので、私は挫折しました。(^^ゞ
また、目標物が設定できない場合、夜間歩行時、濃霧や吹雪によるホワイトアウトの状態の時には、地図やコンパスも役に立ちません。
必需品に挙げましたが、私は、地図とコンパスは一応持って行くだけで、ほとんど使用していません。(後述のGPSに頼りっぱなし(^^ゞ)
しかし、マイナールートや雪山で安全な登山を楽しむためには、地図とコンパスの使い方をマスターしておくべきでしょう。
登山用GPS
地図とコンパスの代わりをしてくれる強力な武器です。
常に現在位置と自分が辿ってきた道を画面の地図上に表示してくれる優れものです。
スマートフォンにもGPS機能が備わっていて、登山用のソフトもダウンロードできますが、正確性、操作性、堅牢性、電池の持ちは、GPSにはかないません(GPSは乾電池で動作するものが多いので、予備電池を持っていれば、宿泊登山でも安心です)。
値段が張るものですが、機能を絞って、フリーの地図データを利用するなどすれば、経費を抑えることも可能です。
私は、GARMINというメーカーのGPSを所有していますが、この機器のおかげでいつも安心して登山ができ、これまでに何度も道に迷いかけては遭難せずに済んでいます。
使い方に慣れる必要がありますが、GPSは絶対におすすめです。
薬(胃薬・キズテープなど)
当然の必需品ですね。
特に、足にマメができる場合が多いので、キズテープがなければ、楽しいはずの登山が苦しいだけのものになってしまいます。
細引きロープ・綿ひも
いろいろな場面で活躍します。
シューズのひもか切れた時や靴底がはがれたときの応急処置や、怪我で出血したときの止血処置や、ザックに入りきらないものをしばりつけたり、ビバーク時にツェルトを固定したりと、利用価値は高いです。
軽いものですので、長めのものを用意しておきましょう。
カッターナイフ
食材の袋を切ったり、緊急時にひもや衣服などを切ったりする場合に、1本用意しておきましょう。
登山ナイフがあればそれに越したことはないですが、私の経験ではカッターナイフで十分でした。
ツェルト
ツェルトといえば、ちょっと本格的な準備品のようですが、簡易テントのようなもので、非常時やビバークするときにとても役に立ちます。
それに、収納サイズはとても小さいので(片手を拡げた程度)、邪魔にもなりません。
テントのように張ったり(ストックとひもが必要)、身体に巻き付けて風雨や寒さをしのいだり、けが人を運ぶときの担架代わりにも利用できます。
重要な機器類には予備も
電子機器などは、山中で故障する可能性もあります。
私は、ヘッドライトとGPSは、常に予備用を含めて2個持って行きます。
機器用の電池も、余裕のある量を持って行きます。
また、メガネやコンタクトレンズの人は、安物のメガネで十分ですので、必ず予備メガネも持って行きましょう。
登山時は、うっかりメガネが外れて谷底に落ちたり、転倒した時にレンズを損傷したりする可能性があります。
裸眼ではとても歩けない人は、予備メガネは必需品です。