1995年にカシオがQV-10というカメラを発表してから、デジタルカメラは一気に一般家庭に普及しました。
それから25年が経過し(2019年現在)、今ではさまざまな構造や機能のデジタルカメラを手にすることができるようになりました。
そして、近い将来、ミラーレス一眼が主流になるのではないかと言われています。
しかし、私は未だに昔ながらの一眼レフカメラに魅力を持ち続けています。
皆さんにもミラーレスではない一眼レフの良さを実感してもらいたいと思い、この記事を書きました。
ミラーレス一眼の台頭
最初のミラーレス一眼は2008年に誕生し、現在までに10年以上が経過しています。
当初は、小型軽量の使いやすさとファッション性が先行し、どちらかといえば初心者向きで、性能面では一眼レフにかないませんでしたが、技術革新が進むなかで、近年になって中上級者をターゲットとしたものも続々と発売されはじめたことから一気にシェアが拡大し、気が付くと販売台数はすでに一眼レフを超える存在になっています。
今後は、一眼レフに代わってレンズ交換式デジタルカメラの主流になるのは間違いないでしょう。
カメラの構造について
一眼レフ
レンズ交換式のカメラで、レンズを通った画像をミラーで反射させてファインダーで直接覗くことができる構造のもので、もともとは35ミリフィルムを使用したレンズ交換式カメラの総称でした。
シャッターを切ると、レンズの後ろのミラーが跳ね上がり、その奥にある撮像素子が画像を受け取るようになっています。
「レフ」とは「レフレックス」の略称で、「光などが障害物にあたって反射する」という意味があります。
デジタルカメラがフィルムカメラにとって代わったものの、その構造は現在でも踏襲されています。
ミラーレス一眼
レンズ交換式のカメラですが、一眼レフからミラーを取っ払っい、直接に撮像素子で受光した画像データを液晶ディスプレイや液晶ファインダーに表示する構造のものです。
ミラーやペンタプリズムがないので、一眼レフよりも小型化が可能です。
一般のコンパクトデジカメも同じような構造ですが、レンズを交換できるか否かの違いで分類されています。
それぞれの長所
一眼レフの長所
レンズを通したそのままの画像が確認できる(光学ファインダー)
レンズからの直接の画像を見ながらピント合わせやシャッター操作ができるため、画像の細かい部分まで確認でき、かつ画像表示のタイムラグも生じません。
また、光学的な画像は、電気的に処理されたものと違い、長く画像を見ていても疲れることはありません。
この光学ファインダーを有することが一眼レフの最も大きな特徴です。
オートフォーカスが早い
レンズを通した直接の画像からピント合わせを行うため、タイムラグもなくピントが素早く合います。
したがって、スポーツ撮影などで瞬間的にシャッターを切る必要があったり動く被写体にピントを合わせ続けなければならない状況では、特に力を発揮します。
(ミラーレス一眼も、最近では画像表示のタイムラグも解消されつつあり、オートフォーカス性能も向上していて、両者の差は埋まりつつあります)
交換レンズが充実している
一眼レフの歴史は長いため、各メーカーで用意されている交換レンズ資産が豊富です。
(ミラーレス一眼もマウントアダプターを装着すれば一眼レフ用のレンズを装着できることが多いですが、まだミラーレス専用レンズは種類が限られているのが現状です。)
ミラーレス一眼の長所
コンパクトで軽量
ミラーとペンタプリズムがないので、一眼レフに比べ小さく軽く製造することができます。
また、構造上の制約が少ないため、スタイリッシュなカメラが多く出回っています。
価格が抑えられる
ミラーを跳ね上げて撮影する機構が不要なことから、一眼レフに比べて製造経費を抑えることができます。
同じ価格帯では、一眼レフよりミラーレス一眼の方が機能が高いです。
ミラーショックがない
シャッターを切った瞬間にミラーの上下動が生じないため、手振れを抑えることができます。
また、物理的なシャッター音が生じないため、コンサートホールなど静かな場所での撮影に有利です。
画質に差はあるか?
結論から言うと、一眼レフとミラーレス一眼との画質には差がありません。
画質に影響を与える主な要因は、撮像素子、レンズ、カメラ内の画像処理です。
ミラーレス一眼の製造技術が開発途上だった頃は、画質面でも機能面でも一眼レフにはかなわなかったのですが、各メーカーがミラーレス一眼の普及に力を入れるようになってからは、急速に技術が進歩し、近年ではフルサイズのミラーレス一眼も登場して、プロカメラマンの使用にも耐えうるようなミラーレス一眼も出回るようになりました。
今後は、ミラーレス一眼に特化した優秀なレンズもどんどん発売されると思いますので、さらに画質の向上が期待できるでしょう。
光学ファインダーと電子ファインダー
永遠に残る両者の差は、光学ファインダーを持つか持たないかです。
ミラーレス一眼は、光学ファインダーの代わりに、電気的に処理した画像を電子ファインダー(液晶)に表示させる構造です。
光学ファインダーの利点は、一眼レフの長所のところで述べましたが、電子ファインダーの利点もあります。
それは、実際に記録される写真データと同じ画像データを表示しているので、露出の失敗が防げることと、画像の一部を拡大して表示させることができるので、マニュアルフォーカス時にピントを合わせやすいこと、さらに、最近の画像処理は高感度に強くなっているので、暗くて光学ファインダーでは見えない被写体でも電子ファインダーでは確認できることが多いということです。
しかし、一眼レフでも、背面の液晶ディスプレイに画像を表示してピント合わせや撮影ができるので、電子ファインダーの代わりをすることが可能です。
電子ファインダーはどんなカメラでも装備できますが(技術的には一眼レフでも可能)、光学ファインダーは一眼レフでないと実現できないので、これから先も貴重な装備だといえます。
今さら一眼レフが魅力的である理由
これからの時代は、一眼レフは陳腐化されて、ミラーレス一眼が市場を席巻するでしょう。
しかし、それでも私は、これから先も一眼レフに魅力を感じ続け、愛用していくと思います。
その理由は、次の3つです。
今から100年以上も前の1890年代に一眼レフの構造が確立され、以来、数々の名機が世に送り出されてきました。
カメラを単に実用としてではなく趣味として考えたとき、この伝統はとても大きなステータスだと感じています。
また、スマホなどは電子シャッターなので、シャッター幕がなく、無音です(疑似的にシャッター音を出すようになっています。)
一方、一眼レフは、ミラー構造と大型のシャッター幕によって軽快な動作音と心地よい振動があり、「写真を撮っている」という実感をもたらしてくれます。
ミラー動作が手振れを招くという意見もありますが、それでも私は、シャッターを切るときのこの感触を手放すことはできないでいます。
右手でカメラのグリップを持ち、左手はカメラボディの下側とレンズを支え、そして脇を締めてファインダーを覗き込む動作は、安定してシャッターを切るための理にかなった姿勢です。
ミラーレス一眼のように小型・軽量化すると、疲れない・荷物にならないといった利点はありますが、しっかりとホールドして撮影するためにはある程度の大きさ、形、重さが必要です。
それを追求すると、一眼レフが最も理想的なフォルムだと思っています。
まとめ
一眼レフのミラー構造は、今や前近代的な技術と言っても過言ではありません。
一方でミラーレスの技術的な問題がどんどん解消されて、これからは一眼レフの欠点ばかりが目に付くようになると思います。
そして、いつかは、「一眼レフが製造終了」となる日が来るのかもしれません。
しかし、趣味の世界では、理屈では語れないものがあります。
私は、一眼レフが用をなさなくなるまでは、しぶとく愛用していこうと思っています。
※ 私の愛用一眼レフ Canon EOS 6D Mark II
カメラメーカーさん、お願い! 一眼レフを見捨てないでーーー!