一般の雪山ではピッケルよりトレッキングポールを

雪山を登る登山者

今年の冬(2019-2020年)は記録的な暖冬なため、山に雪が積もらず悔しい思いをしている方も多いのでは・・・

私の住む山陰では、冬はもっぱら近郊の山(伯耆大山、三瓶山、比婆山など)に通っています。
先日は久々の寒波襲来で、その後の好天の日に大山に行ってモフモフ雪を楽しんできました。
雪の伯耆大山
2020.2.7 伯耆大山(鳥取県)にて

私は、3000m級の厳冬期の急峻な雪山には登りません。せいぜい標高2000mまでのわりと登りやすい雪山を選んで楽しんでします。
それでも稜線に出ると、地吹雪を伴った突風が吹き荒れることも多く、しっかりとした雪山装備が必要です。

雪山を登っていて、いつも疑問に思うことがあります。
それは、ピッケルの使用です。
ピッケルは常にザックに括り付けているのですが、これまでほとんど使ったことはありません。
ピッケルの代わりに、スノーバスケットを付けたトレッキングポールを使用しています。

雪深いなだらかな稜線をピッケルを片手に歩いている登山者が多いのですが、何の役にも立ってないように思うのです。

ここでは、雪山でのピッケルとトレッキングポールの使用について考えてみたいと思います。

 

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それぞれの使用目的

ピッケルとトレッキングポールの、それぞれの使用目的について説明します。

ピッケルの使用目的

ピッケル

ピッケルの使用目的は、雪山歩行時のバランス保持(杖として)、滑落防止急斜面を登るときの補助です。

特に、雪面が硬くて斜度のある状況においては欠かせないアイテムになります。

3000m級の稜線では、急峻な雪面がアイスバーンになり、スリップすれば容易に滑落します。
いざというときにピッケルの先の部分(ピック)を雪面に刺して滑落を阻止します。
また、斜度のある凍った雪面では、先端を突き刺して手掛かりにしたり、ステップを作るための掘削用の道具としても活躍します。

歩行時のバランスをとるための杖としても使用しますが、やはり最大の目的は、上記に挙げたような困難な状況に対応するための道具ということです。

トレッキングポールの使用目的

トレッキングポール

トレッキングポールの使用目的は、バランスをとるための杖としての役割、これに尽きます。

雪山では、足元が埋まったり滑ったりするので、無雪期以上にバランスを保つことが難しくなります。
特に深雪の状況においいては、トレッキングポールがあるとないとでは、疲労度が全く違ってきます。

なお、注意しなければならないのは、雪山ではトレッキングポールの先端にはスノーバスケットを付けなければ用をなさないということです。
トレッキングポールのスノーバスケット
無雪期用の小さなバスケットのままでは、柔らかく深い雪の上では、ポールが埋まってしまってまともに歩けません。

ピッケルは雪山のステータス?

私は、近郊の安全な雪山しか登りませんが、そんな山でも、登山者の多くがピッケルを片手に登山しています。
フワフワの新雪が積もったなだらかな登山道では、邪魔そうにピッケルを握っている姿がとても滑稽に見えます。

アイゼンとピッケルを装備することが雪山のステータスのようになっていて、とにかくピッケルを持つことで満足感を得ている人が多いような気がします。

本来、ピッケルは単なるステータスではなく、雪山の過酷な条件下で素早く適切に使用できるように訓練された人たちが所有するものだと思います。

トレッキングポールの方が使用機会が多い

通常の雪山では、登山口からはなだらかな樹林帯が続き、徐々に斜度を上げていって樹林帯を抜けて、最後に稜線に出て登頂、というコースをたどります。
全行程の中で、滑落しそうな場面(急な斜面や切り立った尾根など)が占める割合はそう多くないと思います。
ほとんどの場合、ピッケルよりもトレッキングポールの方が役に立つ状況にあると思います。
特になだらかな斜面では、丈の短いピッケルではバランスを取りにくく、丈が長くて調節もでき、左右2本で支えられるトレッキングポールの方が断然利用価値が高いです。

結局は両方を携行すべき

ピッケルとトレッキングポール

安全な雪山しか登らない私でも、ピッケルとトレッキングポールの両方を必ず持って登ります。
結局は、トレッキングポールばかりを利用し、ピッケルはバックパックに括り付けたままで終わることがほとんどです。柔らかい雪面では、先の尖ったピッケルでは雪にはまり込んでしまい、バランス保持のためには全く用をなしません。

しかし、天候の変化により、雪山のコンディションは刻々と変わります
たとえ低山でも、気象条件によっては、異常低温になり、強風が吹き、雪面がアイスバーンと化すことも考えられます。
そういった時、安全を確保するために、いつでもピッケルを使用できるように準備だけはしておく必要があると思います。