野鳥撮影にはデジスコがおすすめ

カワセミの写真
(2006.10.28 デジスコによる撮影画像)
※画像をクリックすると、オリジナル画像が確認できます。

私は、野鳥撮影にハマった時期がありました。
もう10年以上も前になりますが、デジカメがまだ発展途上であった当時でも、撮影機材を工夫すれば上のような解像感のあるカワセミのアップ写真を撮ることができました。

野鳥撮影で最もネックになるのは被写体との距離です。
野鳥はとても用心深いので、近づいて撮影することはとても不可能です。
したがって、遠く離れた場所から、超望遠レンズを駆使して撮ることになります。

遠くから野鳥を狙って写真に収めるために必要な撮影機材はいろいろなものがありますが、私が試行錯誤して実践を重ねた結果、最もコストパフォーマンスに優れている撮影方法は「デジスコという方法でした。

デジスコとは、デジタルカメラとフィールドスコープ(望遠鏡)とを組み合わせた造語です。
私のデジスコ体験から、その素晴らしさをお伝えしたいと思います。

 

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野鳥を撮る方法

野鳥撮影の方法としては、主に次の3つの方法があります。
野鳥撮影を趣味にしている人のほとんどは、このどれかの機材パターンで撮影しています。

それぞれに一長一短がありますので、少し説明したいと思います。

一眼レフ+超望遠レンズ

超望遠レンズ

皆さんがまず最初に思い浮かべるのが、この方法だと思います。
(今では、一眼レフの代わりにミラーレス一眼を使用する人も増えています)

画質が良く、ピントも合わせやすいです。
しかし、野鳥撮影に耐えるだけの機材を揃えようと思ったら、特にレンズがものすごく高価です。
また、レンズの最高倍率(焦点距離)が小さく、せいぜい600mm程度、テレコンバーターを利用しても、その2倍の1200mmが限度です。

● 画質がいい
撮像素子とレンズのポテンシャルが高く、高画質で撮影が可能です。
● オートフォーカスが秀逸
動体追従性能に長けているので、飛翔する野鳥を追いかけて撮影するときに効果を発揮します。
● 明るいレンズ
レンズの口径が大きく明るいので、薄暗い時でもシャッタースピードを稼ぐことができて、ブレに強いです。
また、明るいレンズは背景をきれいにぼかすことができるので、被写体を浮き立たせて印象的に写すことができます。

● 機材が高価すぎる
特にレンズが高価で、明るい高性能な超望遠レンズを調達するとなると、レンズだけで軽く100万円を超過してしまいます。
● 最高倍率が小さい
一眼レフ用の超望遠レンズは、せいぜい600~800mm(焦点距離)が限界で、テレコンバーターを使用して倍率を上げたとしても、遠く離れた野鳥をアップで撮ることは難しいでしょう。
● とにかく重い
超望遠レンズはバズーカ砲のように大きく重く、とても手持ちでは撮影できないです。
しっかりとした三脚に油圧式のビデオ雲台でも備えなければ、俊敏な野鳥には対応できないでしょう。

この方法でまともな野鳥写真を撮ろうと思えば、よほどの高所得者しか機材を揃えることはできないでしょう。

私は、最初からこの方法はあきらめていました。

超望遠ズームの一体型デジカメ

超望遠レンズを備えたデジカメ

最近では、レンズ一体型のデジカメでも、最大倍率(焦点距離)が3000mmクラスのものが手に入る時代になりました。
これは、一眼レフでは成し得ない高倍率です。
加えて、サイズが小さいので、機動力があります。

● 機材が安い
高性能なカメラでも10万円程度で購入でき、一眼レフの10分の1以下で機材を揃えることができます。
● 最高倍率が大きい
焦点距離が3000mm級のレンズを有するカメラも登場していて、一眼レフではなし得なかった高倍率の世界を映し出すことが可能です。
● とても軽い
一体型でコンパクト。レンズ部分もそんなに大きくなく、手持ち撮影が簡単にできちゃいます。
● 画質が悪い
特に望遠側は画質の低下がみられるため、写真を大きく引き伸ばして鑑賞するには限界があります。
● レンズが暗い
レンズが暗いので、シャッタースピードが遅くなり、特に薄暗い時はしっかりとしたブレ対策が必要です。
また背景がぼけにくいため、被写体を浮き上がらせるような芸術的な写真には向いていません。

今でこそ、わりと画質の良い高倍率ズーム機が出てきましたが、私が野鳥撮影を始めた頃は、そんなデジカメは存在しませんでした。

画質の甘さに少々目をつぶれば、この方法もありかなと思いますが、それでも光量の多い晴天の日中でしか満足のいく写真はとれないかと思います。
ピンポイントにフォーカスの当たった鳥の目の輝き、手に取るような羽毛の質感などを期待するのなら、まだまだ一体型デジカメでは役不足です。

フィールドスコープにデジカメを接合

デジスコの写真

この方法が、いわゆる「デジスコ」といわれる方法です。
フィールドスコープ(望遠鏡)にコンパクトデジカメを接合して、スコープに映し出された画像をデジカメで撮影するという方法です。(この手法をコリメート法と呼びます。)

この方法は、他の方法に比べてたくさんのメリットがあります。

● 最高倍率がとても大きい
フィールドスコープとデジカメの倍率を掛け合わせると、焦点距離が5000mm以上の倍率を稼ぐことも可能です。これは、カメラ単体ではなし得ない驚くべき高倍率です。
● 機材が安い(一眼レフに比べて)
フィールドスコープ、コンパクトデジカメ、接合アタッチメントを合わせても、20~30万円程度で収まります。これは、一眼レフで揃えた場合の5分の1以下です。
● 明るいF値
一眼レフは、超望遠レンズでは明るくてもF値が4.0までです。デジスコならF値(フィールドスコープとデジカメとの合計F値)をより明るくすることが可能です。
● セッティングが面倒
フィールドスコープ ー 接合アタッチメント ー デジカメ と、セッティングするために必要な部品が多く、撮影を開始するまでに時間と手間もかかります。
● ピント合わせが瞬時にできない
ピント合わせが独特で、まずフィールドスコープでおおまかなピントを合わせておいてから、最後にデジカメでジャスピンを狙うというやり方が一般的です。
フィールドスコープ側のピント合わせはマニュアルフォーカスですし、デジカメとの2段階のピント合わせも必要なため、少々手間がかかります。
デジスコは、機動力には欠けますが、じっくりと腰を据えれば、最も感動的な野鳥写真を撮ることができる方法だと思います。
予算、画質、サイズなどのトータルバランスで考えれば、デジスコの右に出る撮影方法は他にはみつからないでしょう。

デジスコについて

まずは、私が2003年に始めた頃のデジスコ用の撮影機材を紹介します。

フィールドスコープにカメラを取り付けた写真

フィールドスコープ: NIKON ED78
接合アタッチメント: ターボアダプタ( 30XWFL)
デジタルカメラ:  NIKON COOLPIX 4300
照準器: SKY SURFER III
レリーズステイ: RS4300
ケーブルレリーズ: 汎用品
液晶モニタフード: NIKON TID-2
ビデオ雲台: VELBON PH-268R
(フレア等の防止のため、手作りのフードを取り付けています。)

この構成が、デジスコ仲間の定番の機器構成のひとつでした。

このページの先頭のカワセミ写真もこの機材で撮影したものです。

当時のこのデジカメ(NIKON COOLPIX 4300)のスペックが、400万画素、最高感度がISO 400、という今では考えられないほど陳腐なものでしたが、フィールドスコープを利用したおかげで、これほどの高画質な野鳥のアップ写真が撮れるんです。

最近は野鳥撮影から遠ざかっていますが、それまでずいぶんと野鳥撮影を楽しませてもらいました。
2003年から2008年までにいろいろな鳥たちを撮影しましたが、その一例を紹介します。

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カワセミ

また、当時のデジスコ撮影を紹介した私のサイトがありますので、よろしければ覗いてみてください。
(パソコン専用サイトですので、スマホでは閲覧し辛いと思いますが)

現在は、デジカメをミラーレス一眼(NIKON 1 J2)に置き換えて、いつでもデジスコ撮影ができるようスタンバイしています。
フィールドスコープとカメラの接合部分

しかし、デジスコの場合、デジカメ側のスペックは、そんなに高くなくても十分です。
実際にこのミラーレスで撮影した野鳥の写真もありますが、以前の400万画素の旧世代デジカメで撮った画像とくらべても、不思議なことに画質の差は感じません。

その理由は、次のことが考えられます。

・フィールドスコープが倍率を稼いでくれるので、デジカメ側は望遠端まで倍率を上げる必要がない
・周囲のぼけ量やぼけ方はフィールドスコープ側で決まってしまうので、デジカメ側は最も良好な画質が得られる絞り値で撮影することができる
・合計F値が明るいので、ISO感度も無理に上げなくてもよい

 

デジスコ機材の選び方

上記のことから、結論として、デジカメにお金をかけるより、フィールドスコープの方にお金をかけるべきです。
フィールドスコープ

 

デジカメの方は、高スペックを追求するよりも、フィールドスコープと接合するための相性の良いものを選びましょう。
そもそもフィルター取付ネジがなく接合すらできないデジカメが多く、接合できたとしても、ケラレが発生するものも多いです。
デジスコ用のデジカメ

 

接合アタッチメントは、光軸のズレや周辺のケラレが起きないような優秀な製品を選ぶことも重要です。
デジスコ用の接合アダプター

 

超望遠になるので、野鳥を的確にファインダー内に呼び込むためには、照準器があれば便利です。
カメラ用の照準器

 

素早くかつ安定して野鳥を追いかけるためには、高性能なビデオ雲台が効果を発揮します。
ビデオ雲台

 

ということで、おすすめのデジスコ機材については、また別の機会に時間をとって説明することにいたします。(^^ゞ

なお、デジスコ機材については、次のショッピングサイトで詳しく紹介されています。

デジスコに関する機材・アクセサリーなどを総合的に販売するネットショップ…

おわりに

さあ、あなたもデジスコに挑戦して、バードウォッチングと野鳥撮影にのめり込みましょう!

野鳥撮影は、宝探しのような醍醐味があり、釣りや狩りなどと比べて生き物を殺傷することがないので、とても自然に優しい楽しみ方といえます。

さらに、この趣味が皆さんの「生きがい」のひとつにでもなれば、最高ですね。